ADHDだとお金の管理ができない理由と対策を当事者が解説

給料日から数日でお金がなくなってしまう
衝動買いが止められず、生活費にまで手をつけてしまう
感情が爆発して人間関係がうまくいかない
ADHDの子どもの金銭感覚が心配

こういった悩みを抱えている方に向けて、この記事を書きました。

「なぜ自分はこんなにお金を管理できないんだろう」と感じたことはありませんか?
クレジットカードの明細を見て絶望したり、口座残高を確認するたびに落ち込んだり。
そんな経験が続いているなら、ADHDの衝動性が関係している可能性があります。

大人のADHDにおける衝動性は、日常生活に支障をきたす大きな要因のひとつです。
私自身もADHD診断済みの当事者として、衝動性には長い間苦しめられてきました。

ただ、少しずつ意識を変えることで、症状が緩和されていった経験もあります。

この記事では、ADHDの衝動性がなぜ金銭管理の難しさにつながるのか、その原因と私が実践してきた対策を、具体的なエピソードを交えながらご紹介します。
「なぜそうなるのか」を理解したうえで「どう対策するか」を考えるヒントになれば幸いです。

ぜひ最後まで読んでみてください。

目次

ADHDの衝動性とは?お金の管理が難しい理由

ADHDの特性のひとつである「衝動性」は、思ったことをすぐに行動に移してしまうという傾向です。
「ちょっと待って考える」という一時停止の動作が、脳の特性上とても難しい状態にあります。

これはわがままや意志の弱さではなく、脳の神経伝達物質(ドーパミンなど)の働き方の違いによるものと考えられています。
詳しくは専門機関にご確認いただくことをおすすめしますが、「自分だけがおかしいわけではない」ということは知っておいてほしいと思います。

衝動性が引き起こす金銭管理の失敗パターン

衝動性が金銭管理に影響する場面は、日常のあちこちにあります。

  • お店で目についたものをその場で買ってしまう
  • 給料が入った瞬間に「使える」と感じて一気に使い切る
  • 「後で考えよう」と思っているうちに口座残高が底をつく

私自身も、給料日から3日以内に7〜8割を使い込んでしまうことが何度もありました。

私の場合、学生時代からお金の使い方にはかなり苦労していました。アルバイト代が入っても、当日や翌日にはほとんど使ってしまい、友人とご飯に行くときも「お金ないから奢って」と言ってしまうことがよくありました。

友人にお金を借りることもあり、そのことで気まずくなったり、トラブルになったりした経験もあります。社会人になってからも、新卒の初任給を数日で使い切ってしまったことがありました。

使い道は、ギャンブルのようなものではありません。洋服を値段を見ずに買ってしまったり、今すぐ必要ではない家電を勢いで買ってしまったり、ゲームや飲み会に使ってしまったり。その場で「ほしい」「行きたい」と思う気持ちを優先してしまい、後から支払いに困ることが多かったです。

カードの支払いなど、先に残しておくべきお金があるのに、「なんとかなるだろう」と考えて使ってしまうこともありました。結果として、いつもお金がない状態になり、心の余裕までなくなっていたように感じます。

当時は「どうしてこうなるんだろう」と自分を責めてばかりいましたが、衝動性の特性を理解してから、少しずつ向き合い方が変わってきました。

イライラする気持ちが抑えきれない

感情がコントロールできないことも、衝動性症状のひとつです。

負の感情が高まり、ネガティブな思い込みや開き直りがトリガーとなって感情が爆発してしまう——これがイライラを抑えきれない状態の正体のひとつだと、私は感じています。

根本的な自己不全感や疎外感を取り払うことは簡単ではありませんが、
感情の選択は少しずつ変えていける可能性があります。

私が実際に取り組んでいる感情コントロールの対策は以下の通りです。

出来事に対して自分が選択する感情を把握する

感情をコントロールする意識を持つ前、私が感じていた流れはこうでした。

出来事 → 感情が出る

この流れの真ん中に、1つのアクションを加えることで改善のきっかけをつかみました。

それは、

出来事 → 感情を選択 → 感情が出る

「感情の選択」というワンクッションを意識するだけで、自分がどの出来事に対してどのような感情を選びやすいかを把握できるようになってきます。

一般的に、怒りの感情が出やすいケースは、幼少期から怒りで物事を乗り越えてきた習慣があることで、怒りを選びやすくなっていると考えられています。

この習慣を意識することは、次の「失言が多い」という課題にもつながり、相手がどのような感情を感じやすいかを少しずつ想像できるようになるヒントにもなります。

ぜひ、意識してみてください。

失言をしてしまい相手に誤解されやすい

その場で浮かんだ言葉を考えずに発言してしまい、相手を怒らせてしまい人間関係に悩んでいませんか?

衝動的に言葉が出てしまい、相手を怒らせてしまうことはADHDの衝動性から生じやすい行動パターンのひとつです。

これは決して、悪気があって発言しているのではなく、何も考えずに発言してしまうため、本人が気づかないうちに状況が悪化していることがほとんどです。

私自身も、何気なく発言した言葉で相手を傷つけてしまったことが何度もありました。
ただ、以下のことを意識するようにしてから、少しずつ状況が改善されていきました。

相手の立場になる練習をする

ADHDは相手の立場になって考えることが苦手な傾向がありますが、この特性は練習や意識の積み重ねで少しずつ対策できる可能性があります。

そのひとつとして、心理学のポジションチェンジを実践する方法があります。

簡単に説明すると、発言する前に3つの視点を習慣づけるというものです。

3つの視点

1.自分の視点

「自分は〇〇を感じている」「自分は〇〇と考えている」という基本の視点

2.相手の視点

「相手の考え」「感情」など、相手が感じていることをできるだけ鮮明にイメージする

3.第三者の視点

自分の感情をいったん横に置いて、自分と相手がそれぞれ何を期待しているのかを客観的に観察する

この視点を、1→3→2の順番で見る習慣をつけることがポイントです。

衝動的な失言が多い場合は、1の視点だけで会話していることがほとんどです。

発言する前に少し立ち止まって考える——これを意識するだけで変わってくることがあります。

最初は時間がかかります。会話中にうまく考えをまとめられない場合は、
「少し考えさせてください」と相手に伝えることも、ひとつの対策です。

時間をかけながら少しずつ取り組んでみてください。

ADHDの衝動買いが止まらない——金銭管理が難しい3つの対策

ADHDの方で金銭管理に悩んでいる方は少なくありません。

実際に私も、給料日から3日以内に7〜8割を使い込んでしまうことが何度もありました。

これは、衝動的な気持ちが先行してしまい、気持ちをブレーキできないことが大きな原因のひとつです。

ゲームが欲しい、洋服が欲しい、旅行に行きたい、家電が欲しい——気づいたらカードを切っていた

ひどい場合には、借金をしてでも購入してしまうほど衝動的な欲求を抑えきれない方もいらっしゃいます。

実際に、障害手帳を申請する際の診断書項目に金銭管理の問題が記載されることがあるほど、ADHDの代表的な症状のひとつとして認識されています(詳細は専門機関にご確認ください)。

では、実際にどのような対策が考えられるのか。私が実践した3つの方法をご紹介します。

対策① 支出を可視化し、第三者にお願いする

私が最初に取り組んだのは、支出を大きく3つに分けて管理することでした。

ポイント

1.固定費(家賃・光熱費など毎月必ず出ていくもの)
2.変動費(食費・日用品など月によって変わるもの)
3.好きなものに使う費用(趣味・外食・娯楽など)

ざっくりした分類ですが、当時はこの3つを別々の財布に入れて、使った金額を身近な家族に共有するというルールにしていました。

今振り返ると、大切だったのは「家族に報告すること」そのものではなく、自分だけで判断せず、第三者にもお金の使い方が見える状態を作ることだったと思います。

この方法の目的は、衝動買いをゼロにすることではありません。
目的は、1か月に自分が実際にどれくらい使っているかを、具体的な数字で把握することです。

ADHDにとって「ふわっとした抽象的な金銭感覚」は、かなり管理が難しい状態だと感じています。支出を1か月単位で可視化して、衝動買いのパターンを自分で把握することが、改善の第一歩として効果的でした。

その内訳は、第三者の意見を参考にしながら1か月ごとに見直すことをおすすめします。

自分一人でまとめようとすると、どうしても衝動買いを正当化してしまいがちです。
信頼できる家族や友人、あるいは専門家を巻き込んで確認することで、客観的な視点を得やすくなります。

現在の私は、家計簿アプリのマネーフォワードMEを使って、毎月の支出を見える化しています。

以前は「何にいくら使っているのか」を感覚でしか把握できていませんでしたが、収入・支出・カードの引き落としを確認できるようになったことで、お金の流れをかなり整理しやすくなりました。

さらに、FPさんにも定期的に家計を見てもらい、自分の収入に合わせた無理のない支出管理を相談しています。

各費用の予算の決め方、貯蓄の仕方、投資の考え方などを第三者の視点で確認してもらうことで、「これは使って大丈夫なお金なのか」「今は控えたほうがいい支出なのか」を判断しやすくなりました。

その結果、20代前半のころのように衝動的に使い切ってしまうことはかなり減りました。
今では少しずつ貯蓄もできるようになり、以前の自分からすると想像できないくらい、
お金との向き合い方が変わってきたと感じています。

家計を整えられたことは、将来のお金の不安を減らすだけでなく、
住宅購入を考える土台にもつながりました。

障害があるから家を買うのは難しいと感じていた時期もありましたが、収入・支出・貯蓄の見通しを立てられるようになったことで、少しずつ現実的に考えられるようになったのです。

注意点として、最初からいきなり厳しい金額制限を設けるのは避けてください。
衝動買いの原因がストレスなのかADHDの特性によるものなのかは人によって異なるため、
まずは現状を把握することを優先しましょう。

支出を見える化した次のステップに

家計の悩みを、FPに無料相談して整理する方法もあります

支出を見える化しても、「どこを見直せばいいのか」「どれくらい貯蓄に回せばいいのか」まで一人で判断するのは難しいことがあります。

家計のやりくりや将来のお金に不安がある方は、第三者の視点で家計を確認してもらうことも選択肢の一つです。

おかねと暮らしの相談窓口では、家計の見直しや将来のお金について、ファイナンシャルプランナーに無料相談できます。今の家計を一度整理したい方は、公式ページで詳細を確認してみてください。

※相談内容・利用条件・サービス内容は、必ず公式ページでご確認ください。
※本リンクは広告を含みます。

対策② 衝動的に買いたくなったら翌日に持ち越す

限られた金額の中で生活しているとき、どうしても欲しくなってしまう瞬間があります。
そんなときに実践したいのが、「翌日まで持ち越す」というルールです。

その場を一度離れて家に帰り、それでもどうしても欲しい気持ちが残っていたら、翌日に買いに行くというシンプルなルールです。

「そんなことで変わるの?」と思われるかもしれません。でも、これが思いのほか効果的です。

衝動的に買いたくなって、我慢して帰った後の大半は、購入したい気持ち自体がなくなっていたという経験が私にもあります。

その理由は、「衝動買い」が「目的買い」に変わるからだと感じています。
一旦家に帰ることで、購入する目的を冷静に考えられる状態になるためです。

心に置いておくと助けになる言葉として、
「迷っている時点で、それほど必要としていない可能性が高い」というものがあります。
ぜひ一度、実際に試してみてください。

対策③ 欲しいものリストを作って気持ちのエネルギーを整理する

衝動買いを減らすためのもうひとつの方法として、欲しいものリストを作成し、そのために必要な金額を可視化するというやり方があります。

この方法は、第三者に金銭管理をお願いして衝動買いが比較的落ち着いてきたタイミングから始めるのがおすすめです。

実際に欲しいものをいつまでに手に入れたいのか、
そのために毎月いくら貯めればよいかを具体的に書き出すことが重要です。

目標が明確になると、どうでもいい衝動買いにお金や気持ちのエネルギーを使う余裕がなくなっていきます。

私自身も、欲しいものリストを作り始めたことで気持ちのコントロールがうまくできるようになったという実感があります。

最初は窮屈に感じる瞬間もあると思います。
そんなときは、「自分の選択肢を広げるためにお金というアイテムを確保している」という視点を持つことが、続けるための支えになります。

ADHDの可能性や選択肢を広げるために、金銭管理と少しずつ向き合っていくことは、決して無駄にはならないと私は感じています。

お金の管理に悩んだら、一人で抱え込まないために

ここまで紹介した対策を実践しても、「それでも難しい」と感じる場面があるかもしれません。

そんなときは、一人で抱え込まずに専門家や支援機関に相談することも選択肢のひとつです。

ADHDの診断を受けることで、自分の特性を正確に把握し、適切なサポートを受けやすくなる場合があります。
「もしかしたら自分もADHDかもしれない」と感じている方は、まず専門機関に相談してみることをおすすめします。

まとめ:ADHDの衝動性と金銭管理——少しずつ向き合うことが大切

この記事では、ADHDの衝動性が金銭管理に与える影響と、
私が実践してきた3つの対策をご紹介しました。

ポイント

対策① 支出を3つに分けて可視化し、第三者に報告する
対策② 衝動的に買いたくなったら翌日に持ち越す
対策③ 欲しいものリストを作って気持ちのエネルギーを整理する

ADHDの衝動性は、脳の特性によるものであり、意志の弱さや性格の問題ではありません。

大切なのは、「なぜそうなるのか」を理解したうえで、自分に合った対策を少しずつ試していくことです。

完璧にできなくても構いません。昨日よりも少しだけ意識できたなら、それで十分です。

この記事が、ADHDと向き合いながら生活している方の小さな助けになれば幸いです。

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この記事を書いた人

高校2年生の不登校をきっかけに、スクールカウンセラーの勧めで大学病院を受診し、発達障害(ADHD)の診断を受けました。

その後、専門学校を卒業して社会人になるものの、働き方や人間関係につまずき、一時期は社会から距離を置くような引きこもり期間も経験。

就労支援事業所への通所を経て、現在は上場企業のオープンポジション枠で、障害者雇用として管理部門に勤務しています。

今は発達障害と向き合いながら、結婚・子育て・マイホーム購入・住宅ローン返済中のリアルな日々を過ごしています。

このブログでは、不登校・いじめ・就職・障害者雇用・制度活用・子育て・暮らしの工夫など、これまでの経験をもとに、同じように悩む方やご家族に向けて発信しています。

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