
・各企業の障害者雇用はどのような対策をしているのか知りたい
・特例子会社と一般企業では何が違うのか
・自分に合った働き方・企業の選び方がわからない
障害者雇用の就活をしていると、「企業によってこんなに違うのか」と驚いた経験はないでしょうか。
私自身、障害者雇用での就活中に約30社の企業説明会・職場見学・企業実習・選考に足を運びました。また、現在は人事部で採用に携わっており、企業側の視点も持ち合わせています。その経験から感じた各企業の障害者雇用対策の違いを、この記事ではできる限り具体的にお伝えします。
この記事を読むことで、以下のことが整理できる可能性があります。
- 特例子会社・一般企業・外資系企業で何が違うのか
- 障害者雇用に取り組めている企業とそうでない企業の見分け方
- 自分に合った働き方を考えるためのヒント
就活中の方の企業選びに、少しでも参考になれば嬉しいです。

各企業の障害者採用への対策には、どのような差があるのか
業界・業種によって、障害者雇用の採用実績には差があります。
その背景の一つとして、障害者に適した仕事の切り出しが上手くできていないという点があると感じています。
他にも要因はさまざまありますが、約30社を訪問した経験から感じたのは、
障害者を雇用するための準備に、企業間で著しい差があるということです。
では具体的にどのような違いがあるか、ご紹介します。
一般企業と特例子会社では業務の幅が大きく異なる
まず、特例子会社とはどういうものかを簡単に説明します。
障害者雇用の促進・安定を図るために設立される会社です。
一般企業と比べると、障害や特性に対するサポート環境が整っていることが多く、障害の程度に関係なく働きやすい環境が用意されているケースが多い傾向にあります。
もう少し平たく言うと、大手企業が障害者雇用のために設立した子会社です。
働いている方は全員何らかの障害を抱えており、親会社から依頼された仕事を日々行います。仕事内容は企業ごとに異なりますが、基本的にはデータ入力や庶務・雑務といった単調な作業が中心であることが多い印象です。
それでは、一般企業への障害者雇用と特例子会社の業務幅の違いをご紹介します。
特例子会社
切り出した仕事が親会社からくる仕組みが確立されています。
ただし、基本的に単調な作業が中心になりやすく、自分で業務の幅を広げることは難しい構造になっているため、仕事の量や質よりも、安定して継続して勤務することが主な目的となっている場合が多いです。
障害に対するサポート環境は整っていることが多いため、就労経験を積む場として活用しやすい面もあります。
一般企業の障害者雇用
企業ごとで仕事を切り出す仕組みに差があります。障害者を管理する専門部署を設けて仕事を切り出している企業もあれば、既存部署に配属して直属の上司のもと業務量を調整しながら通常に近い形で働かせる企業など、対応はさまざまです。
一人ひとりの障害者の特性に合った仕事を切り出している企業も多く、業務の幅や質は個人のスキルによって広げられる可能性がある点が特例子会社との大きな違いです。
ただし、特例子会社と比べるとサポート面での障害理解に差があり、環境が整っている企業は多くないのが実情です。自身の障害に対してある程度の自己管理ができていることが前提となる場合が多いです。
障害者採用をうまく進めている企業は、仕事の切り出しがしっかりと行われており、
業務内容を先に整理してから、その仕事に合った人材を採用している傾向があると感じました。
面接などの場で、「今回の採用ではどのような業務を想定しているか」を具体的に確認することで、企業の障害者雇用への取り組み姿勢を見極めるヒントになります。
採用実績が少なく、障害者を採用すること自体が目的になっている企業は、具体的な業務内容を説明できないことが多い印象でした。自分が何をするのかを事前に確認しておくことをおすすめします。

日系企業と外資系企業では障害への認識に差がある
そもそも障害に対する認識が日本と海外では異なる部分がありますが、
就活中にその違いを実際に体感する機会が何度もありました。
一番感じた違いは、障害の有無に関わらず、
一人の人間として活躍することを前提としているかどうかという点です。
日系企業では、障害者採用に積極的に取り組んでいる企業もありますが、これまでの経験やスキルを重視する傾向が強い印象でした。面接も、障害者雇用という枠を意識した進め方になりやすく、障害があることを前提に話が進む場面が多かったです。
一方で外資系企業は、経験やスキルよりも障害に対してどのような認識を持っているか、
そしてその考え方が自分たちの企業文化にマッチするかを重視している印象でした。
面接では、障害の有無に関わらず、一人の人間としての行動や思考を問われる質問が多かったです。
実際に大手IT外資系企業の見学に伺った際、就労経験がない18歳の方を採用したと伺いました。その理由として、障害への考え方と企業文化がマッチしたからという話でした。
多様性という点で、日系企業と外資系企業に差が生まれていると感じた経験でした。
ただし、日系企業でもここ数年で企業文化やダイバーシティを重視する動きが増えています。組織力強化や社員エンゲージメントの向上を目的とした取り組みが、結果として障害者雇用における多様性向上にもつながっていると感じています。
障害の有無に関わらず、自分の考え方や障害との向き合い方を言葉にして伝えられることが、
今後の就活でより重要になってくるかもしれません。
自分なりの障害への対処や思考を整理しておくことが、企業選びにも役立つと感じています。

障害者雇用がうまくいっていない企業は、前任者のイメージで選考を進めている
さまざまな企業見学や面接に足を運ぶ中で、障害者をなかなか採用できていない企業に共通して感じたことがあります。それは、前任者の経験を基準に採用条件を決めてしまっているという点です。
例えば、ADHDの方で遅刻が続きコミュニケーションがうまく取れず退職してしまった方が前任者だったとします。その場合、次の採用では前任者の印象が基準となってしまい、採用条件が自然と高くなったり、ネガティブなイメージのまま選考が進んでしまう企業が実際にありました。
なぜこのようなことが起きるかというと、障害に関する知識の差が大きく影響していると感じています。
私自身、現在人事部で採用に携わっていますが、障害に関する知識については担当者によって大きな差があります。自ら勉強されている方もいれば、ほとんど知識がない状態で対応されている方もおり、その格差は実感しています。
私が約30社ほど企業見学や面談に参加した中で、「障害者雇用があまりうまくいっていないのではないか」と感じた企業には、いくつか共通点がありました。
一つは、障害者雇用率を満たすことが目的になっているように感じる企業です。
合同説明会で面談したある企業では、担当者からほとんど質問がなく、「何か聞きたいことはありますか」というやり取りが中心でした。その場に同行していた就労移行支援のスタッフからも、「この企業はあまりおすすめできない」と言われ、途中で面談を切り上げた経験があります。後から理由を聞くと、障害者を理解するよりも、採用人数を確保することが優先になっているように感じたとのことでした。
もう一つは、障害者雇用の経験が少なく、必要以上に気を遣ってしまう企業です。
悪気はないものの、「どう接すればいいのかわからない」という戸惑いが伝わってくる場面が少なくありませんでした。その結果、「障害者だから負担をかけないように」と軽作業ばかりを任され、お互いに遠慮したまま距離が縮まらず、働きづらさにつながってしまうケースもあるようです。私がお世話になった就労移行支援のスタッフからも、こうした企業では早期離職につながることが少なくないと聞きましたし、実際に周囲を見ても長く定着できている方は決して多くないという印象があります。
その一方で、知名度のある企業や障害者雇用の実績が豊富な企業では、人事担当者の障害理解が深く、質問の内容からも「しっかり勉強されている」と感じることが多くありました。業務の切り出しや配慮についても現実的で、面接を受けていて安心感を持てたことを今でも覚えています。
一方、障害者採用がうまくいっている企業は、
障害に関する知識が豊富で、全社員向けの勉強会を開催するなど、
知識の共有を積極的に行っている印象でした。
実際に採用がうまくいっている企業の面接を受けた際、担当者からの質問や反応から知識量の高さが伝わり、「この企業なら働けそう」というイメージが湧きやすかったと感じています。
企業にはさまざまな背景がありますが、
担当者の障害への先入観が採用活動全体に影響していることは少なくないと感じています。
就活中の方は、面接の場での担当者の反応や質問の内容から、その企業の障害理解度をある程度読み取ることができます。企業選びの一つの参考にしてみてください。
また、就労移行支援を活用することで、自分に合った企業を一緒に探すサポートを受けられる場合もあります。就活を一人で進めることに不安を感じている方は、支援機関の利用も選択肢の一つとして検討してみてください。
次のステップへ:就活をさらに進めるために
企業ごとの違いが整理できたら、次は実際の面接準備や、自分に合った企業へのアプローチを考えていく段階です。
以下の記事では、障害者雇用の面接で実際に聞かれやすい質問や、採用担当者目線での対策をまとめています。企業の違いを把握したうえで面接準備を進める際の参考にしてみてください。
また、障害者雇用を選ぶことで収入・就活・気持ちの面でどんなメリットや不安があるのかを整理した記事もあります。企業選びと並行して、自分の働き方の軸を見直したい方はこちらもご覧ください。
一人で就職活動を進めることに不安を感じていませんか?
障害や必要な配慮を面接でどのように伝えればよいのか、 自分に合った職場をどう探せばよいのか、迷うこともあると思います。 そのようなときは、障害者雇用に詳しい転職サービスを利用するのも選択肢の一つです。 atGP(アットジーピー)では、障害者雇用の求人を探しながら、 就職・転職活動について相談できます。
- 障害者雇用に特化した求人を探せる
- 自分に合った仕事や働き方を検討できる
- 就職・転職活動について相談できる
サービス内容や対象条件を確認したうえでご利用ください。
今回は、障害者雇用の就活で約30社を訪問した経験から感じた、各企業の障害者雇用対策の違いをご紹介しました。
特例子会社・一般企業・外資系企業でそれぞれ業務の幅やサポート体制・障害への認識が異なり、自分の特性や働き方のスタイルに合った環境を選ぶことがとても大切だと感じています。
法定雇用率の引き上げにより、今後も障害者雇用に力を入れる企業は増えていくと考えられます。そのような状況だからこそ、数ある選択肢の中から、本当に自分を必要としてくれる企業を見極めることが大切です。
「一人で頑張る」のではなく「一緒に頑張る」という視点を持って、企業選びを進めてみてください。この記事が、その一助になれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。




