ADHD診断後の治療方法を当事者が解説|薬の種類・カウンセリング・社会復帰まで

・ADHDと診断されたけど、この後どうすればいいの?
・どんな検査を受けてADHDと診断されるの?
・ストラテラ・コンサータ・インチュニブって何が違うの?
・カウンセリングも受けた方がいいの?

ADHDと診断された直後は、「これからどうすればいいのか」と不安になる方も多いと思います。

私自身もそのひとりでした。診断を受けたとき、治療の選択肢が多すぎて何から始めればいいかわからず、しばらく途方に暮れた記憶があります。

この記事では、ADHD当事者である筆者が、診断を受けるまでの流れ・処方された薬の種類と服薬体験・カウンセリングの活用・社会での対処法まで、診断後の治療の流れをできるだけ丁寧にお伝えします。

すでに診断を受けている方はもちろん、ADHDを疑っている方や子どもがADHDと診断された方にも参考になれば幸いです。

目次

ADHD治療の全体像:診断後に取り組む3つのアプローチ

ADHDの治療は、大きく分けると以下の3つのアプローチを組み合わせて進めていくことが一般的です。

ADHDの治療で取り組む主な3つのアプローチ
  • 薬物療法:集中力・衝動性・注意力を薬でコントロールする
  • 心理カウンセリング:自己理解と対処法を専門家と一緒に考える
  • 社会との関わり・実践:対処法を日常・仕事の中で活かしていく

どのアプローチが合うかは人によって異なります。担当医と相談しながら、自分に合った組み合わせを探していくことが大切です。

以下では、それぞれのアプローチについて、
当事者としての体験を交えながら詳しくご説明します。

ADHDの診断から薬物療法までの流れ

ADHDを疑っている方は、
実際にどのような検査を経てADHDと診断されるのか気になる方も多いと思います。

ADHDの検査にはさまざまな種類がありますが、基本的にはIQテストから知能の偏りを確認する検査が行われることが多いです。

私が実際に受けた検査はWISC検査です。以下でその内容をご説明します。

WISC検査とは?ADHDと診断される流れ

最初は心療内科に通院し、日常生活での悩みや生きづらさを感じていることを担当医に話します。その後は、医師の判断で精密検査を行うか、ひとまず薬物療法から始めるかが決まります。

精密検査を行う場合は、先ほど挙げたIQテストが実施されます。私が受けたのはWISC検査です。

WISC検査とは

「言語理解」「知覚推理」「処理速度」「ワーキングメモリ」の4つの指標とIQ(知能指数)を数値化する検査です。

「得意な部分と苦手な部分」を明らかにし、「より良い支援の手がかりを得る」ことを目的として行われます。

ADHDの場合、検査結果の数値に著しい偏りがあることが判断の手がかりのひとつになります。

また、よく誤解されやすいのですが、WISC検査はADHDかどうかを直接確定する検査ではなく、検査結果をもとに専門の医師が総合的に判断するものです。検査を受けたからといって必ずしも確定診断が出るわけではない点はご注意ください。

医師から検査結果の説明を受け、その後の治療方針について話し合いが行われます。ADHDの症状は人によって大きく異なるため、治療方法も通院の頻度も個人差があります。

私がこの検査を受けたのは、社会人2年目の頃でした。

受ける前は「どんなことをするのだろう」と少し不安もありましたが、実際に受けてみて一番印象に残っているのは、検査時間がとても長く感じたことです。積み木の形を指示どおりに並べたり、数字や言葉に関する質問に答えたりしながら、いくつかの課題を進めていく形でした。

私の場合は、住んでいる地域の発達支援センターで検査を受けました。
検査を受けられる場所は限られている印象があり、
予約や相談先を探す段階でも少し時間がかかった記憶があります。

結果を見ると、言葉で理解したり説明したりする力と、記憶に関する力の間に大きな差がありました。特に、言語に関する数値は低めで、記憶に関する数値は高めに出ていました。

当時の私は、「頭ではわかっているのに、うまく言葉にできない」と感じることが多く、友人からも「主語が抜ける」と言われることがありました。そのため、言葉で伝えることへの生きづらさが検査結果として見えたときは、原因がわかって少し安心しました。

ただ同時に、「理由はわかったけれど、これからどう向き合えばいいのだろう」という不安もありました。さらに、知的障害の基準にはわずかに届かないものの、いわゆる知的グレーゾーンに近い状態だと説明を受け、自分の困りごとは単純にADHDだけでは説明しきれないのだと感じました。

この検査は、診断名を知るためだけでなく、
自分の得意・不得意の差を理解するきっかけになったと思っています。

ADHDの治療に使われる薬の種類と当事者の服薬体験

処方される薬は担当医の判断によって異なります。私の場合は、以下の流れで処方薬が変わっていきました。

診断初期

ストラテラ:集中力や注意力を高めるなど、諸症状の改善を目的として用いられる薬

「ストラテラ」の特徴として、服薬後すぐに効果が現れるわけではなく、服薬開始から2週間後に徐々に効き始め、6〜8週間後に安定すると一般的に言われています。

私の場合、20代前半でストラテラを処方されましたが、服薬を続けても効果をはっきりと感じることができませんでした。ただし、これはあくまでも個人的な感覚であり、効果の出方は人によって大きく異なります。

治療開始半年後

コンサータ:脳の神経機能を活発化させ、注意力を高め衝動性を落ち着かせる即効性のある薬

私は現在もコンサータを服用しており、自分なりに効果を実感しています。

コンサータを服用して効果を感じているポイント
  • 集中力が持続するようになった
  • 慢性的な眠気がなくなった
  • 落ち着いて話せるようになった

ただし、コンサータには服用時の注意点もいくつかあります。

コンサータ服用の注意点
  • 食欲が著しく落ちることがある
  • 効き目は服用後12時間程度で切れる
  • 処方できる医師が登録制で限られている

特に気になるのが、食欲の低下です。私自身、仕事中にコンサータを服用しているときは、昼食があまり食べられない日が多くあります。日によっては、効き目が切れる12時間後まであまり食欲がわかないこともあります。

そのため、少量でも口にすることを意識して日々過ごすようにしています。食べられない日が続く場合は、胃薬の併用も可能ですので、担当医に相談してみるといいでしょう。

補足:
現在、コンサータは処方規制の影響により1回に処方できる量が定められており、登録を受けた医師のみが処方できる仕組みになっています。

この規制の影響で、以前は3ヶ月に1回だった通院頻度が1ヶ月に1回に変わり、転院する際も登録医師が在籍する病院を探す必要があります。コンサータの処方を希望する方は、事前にこの点を把握した上で通院先を検討することをお勧めします。

現在の処方

コンサータ+インチュニブ

インチュニブ:脳の神経伝達物質の調整を行う薬

インチュニブは2017年に新たに登録されたADHD専用の処方薬です。

主治医からは、日本以外ではコンサータとインチュニブを併用することが一般的になってきていると説明を受けました。

当事者の感覚で簡単に説明すると、コンサータで活性化された神経機能から分泌される神経伝達物質を、インチュニブが調整してくれるイメージです。

コンサータに武装するイメージ?

そんな感じです!

インチュニブの服用を始めてから、それまでに感じたことのない集中の感覚を得ることができ、資格の勉強ができるようになり、国家資格を取得することもできました。効き目は人によって異なりますが、ひとつの選択肢として参考にしてください。

心理カウンセリングで心の治療とADHDの対処法を考える

ADHD(発達障害)の治療は、専門医師の診察と心理カウンセラーのカウンセリングを組み合わせて進めていくことが多いです。

医師の診察時間は10〜20分程度が一般的で、困りごとを深く話す場というよりも、処方薬の確認や調整が中心になることがほとんどです。

そのため、カウンセラーに現在の状況や困りごとを話し、その内容をカウンセラーが主治医に共有することで、内面的にも適切な治療が進められます。医師・カウンセラー・患者の3者間での連携は、治療の質を高める上でとても有効な方法です。

ADHDであることを長年知らずに過ごしてきた方の中には、自分に自信が持てず、心が傷ついている方も少なくないと思います。

心理カウンセリングを通じて、自己対処の方法を学んだり、気持ちの整理をしたりすることで、自分の考え方や生き方を見直すきっかけになることがあります。

悩みを一人で抱え込まずに、心療内科でのカウンセリングを選択肢のひとつとして検討してみてください。

通院だけでなく、社会との関わりも治療の一部

心療内科に通い続けるだけでは、日常生活の生きづらさを根本から変えることは難しいと感じています。

社会に関わること自体が、治療の延長線上にあると私は考えています。

離職中の方と在職中の方とでは状況が異なりますが、カウンセリングや薬物療法で学んだ対処法を、実際の生活や仕事の中で試していくことに意味があります。

私自身、社会に復帰し、自己対処しながら日常生活を送れるようになったことが、大きな自信につながりました。つらいこともありましたが、自分と向き合い続けた結果が実を結んだと感じられたのは、社会の中でその経験を活かせたからだと思っています。

自分に合った社会への関わり方を探しながら、
無理のない範囲で対処法と共存できる生き方を考えていくこと
が、長期的な改善につながると感じています。

通院というきっかけを、ぜひ自分の生き方を見直す一歩として活かしてみてください。

まとめ

ADHDを疑っている方も、すでに診断を受けている方も、治療の選択肢や進め方に悩むことは自然なことです。

自分に合う治療・合わない治療を判断できるのは、当事者自身です。担当医やカウンセラーと相談しながら、自分のペースで治療に向き合っていただければと思います。

決して悲観的にならずに、自分を大切にする選択を積み重ねていってください。

この記事が、これからの道筋を考えるための一つの材料になれば幸いです。自分と向き合うその一歩は、決して無駄にはなりません。

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この記事を書いた人

高校2年生の不登校をきっかけに、スクールカウンセラーの勧めで大学病院を受診し、発達障害(ADHD)の診断を受けました。

その後、専門学校を卒業して社会人になるものの、働き方や人間関係につまずき、一時期は社会から距離を置くような引きこもり期間も経験。

就労支援事業所への通所を経て、現在は上場企業のオープンポジション枠で、障害者雇用として管理部門に勤務しています。

今は発達障害と向き合いながら、結婚・子育て・マイホーム購入・住宅ローン返済中のリアルな日々を過ごしています。

このブログでは、不登校・いじめ・就職・障害者雇用・制度活用・子育て・暮らしの工夫など、これまでの経験をもとに、同じように悩む方やご家族に向けて発信しています。

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