ADHDでメモが取れない原因と対策|当事者が実践する3つのポイントを紹介

メモを取ろうとすると、話が頭に入ってこない
話を聞いていると、手が止まってしまう
何を残せばいいのか分からない
メモしたこと自体を忘れてしまう

ADHDのある方の中には、このようなメモの悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。

私も、話を聞くことと書くことを同時に進めるのが苦手です。社会人になると「きちんとメモを取ろう」と言われることが多いですが、メモを取ることばかり意識すると、肝心の話が入ってこなくなります。

そこで現在は、会話中に完璧なメモを作ることをやめました。要点だけを残し、生成AIで整理したあと、相手と認識を合わせるところまでを一つの流れにしています。

この記事では、就労支援で学んだことと、実際に働く中で試行錯誤してきた経験をもとに、私が現在行っているメモの取り方を紹介します。

ノートとペン
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目次

私がメモを取れなかった理由は「聞く・考える・書く」の同時作業

私の場合、メモがうまく取れない一番の理由は、
聞く・考える・書くという複数の作業を同時に進めるのが難しいことです。

最近は、仕事の依頼がチャットやメールで届き、内容が記録として残ることも増えました。そのため、個別の依頼を一から書き留める場面は以前より減ったと感じます。

それでも、次のような場面ではメモが必要です。

  • ミーティングで議事録を作るとき
  • 上司へ直接相談するとき
  • 業務の引き継ぎを受けるとき
  • 誰かと一緒に作業するとき

どの場面でも困ったのが、「話しながら書く」「書きながら話す」タイミングが分からなくなることでした。書くことに集中すれば、その後の話が抜けます。話を聞くことに集中すれば、記録が残りません。

一番困ったのは「言った・言わない」が起きること

メモを残せないと、自分の中で話を整理できません。ただ、仕事上の事故という意味で一番困ったのは、相手との間に「言った・言わない」が起きやすくなることでした。

記録がなければ、どちらの認識が合っていたのかを後から確認できません。その行き違いによって、誰かに迷惑をかけてしまう可能性もあります。

この経験から、私はメモの目的を考え直すようになりました。

メモの目的を「書くこと」から「認識を合わせること」へ変えた

就労支援では、シンプルな内容をメモする練習をしました。しかし、実際の仕事は相手ありきです。相手の話す速さや会話の流れもあるため、練習どおりにはいかないことが多々ありました。

働きながら気づいたのは、いつの間にか「メモを取ること」自体が目的になっていたことです。

私にとってメモが必要なのは、きれいな記録を作るためではありません。相手と自分の認識を合わせ、仕事の行き違いを防ぐためです。

現在のメモの成功基準

「きれいに書けたか」ではなく、
相手と認識を合わせられたかで判断する。

会話中は紙やPCへ要点を残し、あとで内容を整えます。そして、チャットやメールで相手にも送り、「この認識で合っていますか」と確認します。相手との認識に相違がなければ、そのメモは成功です。

この方法に変えてから、仕事で起きた問題を整理しやすくなりました。まず、相手との認識は合っていたのか。そのうえで、自分が作業を忘れたり間違えたりしたのか。この二つを分けて考えられるからです。

以前よりも「仕事のミスは、すべて発達障害が原因だ」と一括りにしなくなりました。認識を合わせたあとにタスク漏れや作業ミスが起きたのであれば、次は一人の社会人として、自分に合った防止策を考える。そう切り分けることで、考え方もシンプルになりました。

メモを取ることで感じた3つのメリット

私が感じた3つのメリット
  1. 記憶だけに頼らずに済む
  2. 頭へ入れる情報を整理できる
  3. 会話の要点を意識するようになる

メリット1:記憶だけに頼らずに済む

大切な情報を外へ出しておけば、すべてを頭の中へ置いておく必要がありません。忘れたときも、残した記録へ戻れます。

ただし、私の場合は話を聞きながら整った文章を書くのが難しいため、会話中は単語や短い箇条書きだけでも残すようにしています。最初から完成形を目指さないことがポイントです。

メリット2:頭へ入れる情報を整理できる

私は一日中さまざまなことを考えていて、情報が多すぎると何が重要なのか分からなくなります。

そのため、メモは情報を増やすものではなく、頭へ入れる情報を絞るためのものと考えています。要点を一枚にまとめると、情報が整理された状態で頭へ入ってくる感覚があります。

メモを書くことは、頭の中にあるものを外へ出すアウトプットでもあります。必要な情報を外へ置くことで、頭へ負荷をかけすぎないようにしています。

メリット3:会話の要点を意識するようになる

以前の私は、相手の話をすべて書こうとしていました。しかし、それでは何を書けばよいのか分からなくなります。

現在は、メモを取ることよりも、話の中で何が決まったのか、次に誰が何をするのかを意識しています。

特に、日付・期限・担当者・決定事項・次にやることは、あとから仕事を進めるために必要な情報です。分からなければ、その場で相手へ確認します。

【実践】私がメモを残すときの3つのポイント

3つのポイント
  1. 会話とメモを短い区切りで交互に行う
  2. 用途に合わせて一枚のデータにまとめる
  3. 最後に相手と認識を合わせる

ポイント1:会話とメモを短い区切りで交互に行う

一般的には「相手が話している間にメモを取りなさい」と言われることがあります。しかし、この方法は私には合いませんでした。

メモを残すことを意識しすぎると、相手の話が入ってこなくなるからです。

そこで現在は、一つの話題が終わるまでは要点を聞くことへ集中し、会話の切れ目で短くメモします。次の話を聞き、その話が終わったら、また要点だけを残します。

一つの会話を聞く → 区切りで要点をメモする → 次の会話を聞く

記録先は、チャットやPCの標準メモなど、その場ですぐに使えるもので十分です。会話中に完成した文章を作ろうとせず、あとから思い出すための単語や短い箇条書きだけを残します。

ポイント2:用途に合わせて一枚のデータにまとめる

現在は、殴り書きのように散らばったメモを生成AIへ渡し、一枚のデータに整理してもらっています。

メモの形は、用途によって次の二つに分けています。

場面AIへ依頼する内容残す情報
相談や打ち合わせで次の行動が決まったとき内容を整理し、決定事項とToDoを分ける決定事項・担当者・次にやること・期限
会議、週次・月次報告など議事録として整理する連絡事項・現在の状況・話し合った内容

共通しているのは、「一つのメモ=一枚のデータ」に収めることです。

情報量が多すぎると、何が何だか分からなくなります。必要な要点を押さえながら、頭へ入れる情報はできるだけシンプルにする。この形が私には合っていました。

ポイント3:最後に相手と認識を合わせる

AIで整理したメモは、自分の記憶や認識と照らし合わせて必ず修正します。AIが整えた文章を、そのまま正しい記録として扱うわけではありません。

修正後は、必要に応じてチャットやメールで相手へ送り、「この認識で合っていますか」と確認します。ここまで行って、私の中ではメモが完成します。

生成AIを使ったメモ整理の流れ

現在、私がメモの整理に使っているのは、ほぼ生成AIだけです。メモを整理する用途であれば、AIツールごとに大きな差は感じていません。新しいツールを探すより、普段から使い慣れているものを使えばよいと思います。

  1. 会話中は単語や短い箇条書きで要点を残す
  2. 散らばったメモをAIへ渡す
  3. 議事録、または「決定事項とToDo」に整理してもらう
  4. 自分の記憶と照らし合わせて修正する
  5. 必要に応じて相手へ共有し、認識を確認する

言語による情報処理の得意・不得意に偏りがあり、話しながら手を動かすことも苦手な私にとって、断片的なメモを整理してくれる生成AIは、なくてはならない存在になっています。

オンライン会議では文字起こしも活用する

オンライン会議では、会議後に生成された文字起こしデータをAIへ渡し、議事録や要点として整理することもあります。自分の短いメモだけでは抜けてしまった内容を確認できる点が便利です。

会議の録音・文字起こしや、業務情報の生成AIへの入力については、勤務先の規定や情報管理ルールを事前に確認してください。

保存先は「誰が見るか」で分ける

完成したメモは、使う人に合わせて保存先を変えています。

  • 相手へ共有した内容:チャットの履歴へ残す
  • 自分だけで使う内容:業務ごとの個人フォルダーへ保存する
  • チームで確認する内容:共有フォルダーへ保存する

ただし、細かな管理ルールは作っていません。管理方法を考えすぎると、それ自体が新しい仕事になってしまうからです。

ファイル名も厳密に統一するのではなく、「〇〇年〇〇月_〇〇業務の進め方」のように、あとから見てすぐ内容が分かるタイトルにしています。

職場でメモが取れないときの対処法

完璧なメモより、要点と確認を優先する

会話中にメモが追いつかないときも、その場で完璧に書こうとはしません。まずは会話の要点を押さえ、区切りで短く残し、最後に相手へ確認します。

重要なのは、文章としてきれいかどうかではありません。仕事を進めるために必要な情報があり、相手との認識が合っているかどうかです。

苦手さだけでなく、必要な対応まで伝える

私は障害者雇用で働いているため、入社前の面接で「メモを取ることが苦手なので、確認や相談をする時間をいただけると助かります」と伝えました。

ただ、仕事の認識を確認すること自体は、障害者雇用か一般雇用かに関係なく必要だと思っています。特別な対応を求めるというより、自分が苦手であることを念のため共有し、必要なときに確認しやすくするためです。

認識確認を嫌がられたことはほとんどない

「この認識で合っていますか」と確認することを嫌がる上司は、これまでほとんどいませんでした。

上司の判断が必要な状態なのに、自己判断で進める方が仕事上のリスクになります。認識を合わせておけば、自分が次に作業する段階なのか、上司の確認を待つ段階なのかも明確になります。

上司も、目線合わせや認識のすり合わせには対応してくれます。もちろん、確認が遅いときはかなりリマインドします(笑)。

職場での困りごとを一人で整理するのが難しい方へ

ここまで紹介した方法を試しても、職場での困りごとが続くこともあると思います。

そのような場合は、就労移行支援を利用して、自分に合った仕事の進め方や職場への伝え方を一緒に整理する方法もあります。私自身も、就労支援でメモの練習をした経験があります。

私が実際に通っていた事業所とは別ですが、atGPジョブトレでは障害別の就労支援を行っています。いきなり利用を決めるのではなく、まずはどのような支援があるのか確認してみる程度でもよいと思います。

※対象地域や利用条件は、公式ページでご確認ください。

私に合わなかったのは「メモを取ることを目的にする方法」

私に合わなかったのは、相手が話している間にすべてを書こうとする方法でした。

きれいな文章で残そうとすることも、細かな管理ルールを作ることも、続きませんでした。どちらも「メモを取ること」自体が目的になってしまったからです。

メモを管理することが仕事なのではありません。仕事を進めやすくし、自分の認識違いをきっかけにした事故を防ぐためにメモを使っています。

まとめ:メモは上手に書くものではなく、仕事を進めやすくするもの

この記事で紹介した方法は、あくまで私が自分の特性に合わせて試してきたものです。すべてのADHDの方に、同じ方法が合うとは限りません。

ただ、「メモを取れない」と悩んでいるのであれば、一度メモの目的を考え直してみてもよいと思います。

  • 会話中に完成したメモを作ろうとしない
  • 一つの会話が終わったら、要点だけを残す
  • 断片的なメモはAIで整理し、自分で確認・修正する
  • 一つのメモを一枚のデータに収め、情報量を増やしすぎない
  • 最後に相手と認識を合わせる
  • 管理ルールを細かくしすぎない

きれいなメモを作れなくても、必要な情報を残し、相手と認識を合わせられれば、仕事のためのメモとしては十分です。自分が仕事を進めやすくなる形へ、少しずつ変えてみてください。

メモだけでなく、ADHDの仕事のミスが繰り返される原因と対策について知りたい方は、
ADHDの仕事のミスが繰り返される原因と対策の記事もあわせてご覧ください。

ADHDについてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

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この記事を書いた人

高校2年生の不登校をきっかけに、スクールカウンセラーの勧めで大学病院を受診し、発達障害(ADHD)の診断を受けました。

その後、専門学校を卒業して社会人になるものの、働き方や人間関係につまずき、一時期は社会から距離を置くような引きこもり期間も経験。

就労支援事業所への通所を経て、現在は上場企業のオープンポジション枠で、障害者雇用として管理部門に勤務しています。

今は発達障害と向き合いながら、結婚・子育て・マイホーム購入・住宅ローン返済中のリアルな日々を過ごしています。

このブログでは、不登校・いじめ・就職・障害者雇用・制度活用・子育て・暮らしの工夫など、これまでの経験をもとに、同じように悩む方やご家族に向けて発信しています。

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