発達障害と面接|ADHD・ASD当事者×採用担当が語る特徴と接し方

・面接で発達障害はわかるの?
・会社で発達障害の疑いがある人がいて接し方に困っている
・当事者目線で見た特徴や配慮ポイントを知りたい
・就活中にADHDがバレるか不安で、面接をどう乗り越えればいいか知りたい

今回は、このような悩みに向けて記事を書きました。

結論から言うと、面接だけで発達障害かどうかを判断することはできません。

発達障害の診断は医療機関で行うものです。

そのため、面接官や職場の人が「この人は発達障害だ」と決めつけることはできません。

ただし、ADHD・ASD当事者として約20年生活してきた私自身、面接や職場で「自分と似た特性を持っているかもしれない」と感じる場面はあります。

この記事では、ADHD・ASD当事者として面接を経験してきた視点と、採用担当者として面接の場に立ってきた視点の両方から、adhd 面接にまつわる特徴・配慮・対策をお伝えします。採用担当者・人事の方にも、発達障害のある求職者の方にも役立つ情報をお届けします。

採用担当の立場として面接の場を経験しつつ、当事者としての就職活動も経験してきた視点から、面接時の特徴と職場での接し方について詳しく紹介します。当事者の方には面接対策・開示の是非についても、採用担当者の方には具体的な配慮方法についても、それぞれ本文でお答えします。

ぜひ最後までご覧ください。

面接で話をする社会人のイメージ
目次

ADHD・ASD当事者が感じた面接での3つの特徴

あくまでも私の経験に基づく内容ですが、面接で特性が出やすいと感じるポイントはこちらです。

当事者が感じる面接時の特徴
  1. 複数の質問を同時に処理するのが苦手
  2. 話したい情報が多くなり早口になる
  3. 筆記試験と面接が続くと疲労で力を出しにくい

この3つです。

ただし、最初に知っておいてほしいのは、発達障害の特性は十人十色ということです。

すべて当てはまる人もいれば、ほとんど当てはまらない人もいます。また、緊張や経験不足によって同じような反応が出ることもあります。

そのため、この記事で紹介する内容は「発達障害かどうかを判断する基準」ではなく、当事者理解や面接時の配慮を考えるためのヒントとして読んでください。

1.複数の質問を同時に処理するのが苦手

面接で特性が出やすいと感じる場面の1つが、2つ以上の質問を同時にされたときです。

例えば、次のような質問です。

あなたの失敗談を教えてください。そして、その経験をどのように克服しましたか?

この質問は一見シンプルですが、「失敗談」と「克服方法」の2つを同時に聞いています。

例

失敗談から話し始めると、克服方法を聞かれていたことを忘れてしまう。反対に、克服方法から話そうとすると、失敗談の説明が抜けてしまうことがあります。

私自身も就職活動中に、似たような経験を何度もしました。

話している途中で「あれ?何を聞かれていたんだっけ?」となり、面接後に「また質問に最後まで答えられなかった」と落ち込んだこともあります。

ただ、これは発達障害だけに限った話ではありません。誰でも緊張すれば質問を忘れることはあります。

大切なのは、回答がうまくまとまらない人に対して、すぐに「理解力がない」と判断しないことです。

多くの情報を一度に受け取ると、何から答えればいいかわからなくなる人もいるという視点を持つだけで、面接の見方は変わります。

2.話したい情報が多くなり早口になる

発達障害のある方の中には、頭の中に多くの情報が浮かぶことで、スピードが速くなる方もいます。

もちろん、全員に当てはまるわけではありません。

ただ、私自身も興味のある話題になると、気づいたら話しすぎてしまうことがあります。

面接官の立場では、「元気がある」「頭の回転が速そう」と良い印象に見えることもあります。

しかし一方で、話の内容が整理されていなかったり、質問から少しずつズレてしまったりすることもあります。

私の場合、頭の中で次々と情報が浮かび、

  • これも伝えたい
  • あれも説明しないと
  • 誤解されたくない

という気持ちが強くなり、結果的に早口になってしまうことがあります。

以前の私は、面接で自分をよく見せようとして、聞かれたこと以上に話しすぎてしまうことがありました。

今振り返ると、相手が知りたいことよりも「自分が伝えたいこと」を優先してしまっていたのだと思います。

そのため面接では、話すスピードだけを見るのではなく、質問の意図に沿って答えられているかを丁寧に確認することが大切です。

必要であれば、面接官側が「今の話を一度整理すると、〇〇という理解で合っていますか?」と確認すると、本人も答えやすくなります。

3.筆記試験と面接が続くと疲労で力を出しにくい

これは企業ごとに選考方法が異なるため一概には言えませんが、私はある企業で筆記試験を受けた後、そのまま一次面接を受けた経験があります。

そのときに行ったのが、クレペリン検査でした。

クレペリン検査とは

クレペリン検査とは、一桁の足し算を繰り返し行う検査です。作業量や作業ペース、集中力、作業の安定性などを見る目的で使われることがあります。

私の場合、この検査が終わった時点でかなり疲れていました。

単純な作業を長時間続けることが苦手だったため、検査後は頭がぼーっとしてしまい、その直後の面接ではうまく言葉が出てこなかった記憶があります。

実際に、面接で伝えたかったことを整理できず、「本来の自分を出せなかった」と感じました。発達障害のある方の中には、集中力の波が大きかったり、疲労が出やすかったりする方もいます。

そのため、筆記試験と面接を同日に行う場合は、休憩時間をしっかり設けるなど、選考フローの設計も大切だと感じます。

これは発達障害の方だけでなく、緊張しやすい方や体力に不安がある方にとっても、力を発揮しやすい配慮になります。

面接でADHDの特性が出た瞬間—私の実体験

ここまで3つの特徴を紹介しましたが、「実際にどんな場面でそれが起きるのか」をもう少し具体的に伝えたいと思います。

私の場合、一般雇用の面接では「できるだけ前向きに見せなければ」と強く意識してしまい、かなり気を張っていました。

その結果、面接官からの質問を途中で忘れてしまい、聞かれたことと少しズレた回答をしてしまったことがあります。話している途中で「あ、さっき聞かれたのは別のことだった」と気づき、そこから軌道修正しようとするのですが、焦るほど話が長くなり、結果的に「結局何を伝えたいんだろう」という印象になってしまったと思います。

また、クレペリン検査のあとに面接を受けたときは、前半は集中できても、時間が経つにつれて頭が動かなくなり、後半は明らかに失速してしまいました。自分では頑張っているつもりでも、「集中力が続きにくい人」と見られてしまう怖さを感じた場面です。

さらに、障害を隠して面接を受けていると、表向きの印象と本来の自分にズレが出ることもありました。面接では「営業も向いていそう」と言われても、終わったあとに「本当はそんな自分ではないのに」と後悔したこともあります。

診断を受けた後にどのような治療の選択肢があるのか気になる方は、ADHD診断後の治療の流れと薬の種類について当事者の服薬体験とともにまとめた記事もあわせてご覧ください。

発達障害の有無よりも「環境づくり」が大切

ここまで面接で感じやすい特徴について紹介しましたが、私が一番伝えたいのは、発達障害かどうかを見極めることが目的ではないということです。

発達障害のある方は、私も含めて苦手なことと得意なことの差がはっきりしていることがあります。

例えば、私は以下のようなことが苦手です。

  • マルチタスク
  • 急な予定変更
  • 曖昧な指示への対応
  • 複数の情報を同時に整理すること

一方で、得意なこともあります。

  • 興味のある分野に集中すること
  • 情報を整理して仕組み化すること
  • 同じ悩みを持つ人の気持ちを想像すること
  • 自分の失敗経験を言語化すること

確かに、ミスが多いことや報連相が苦手なことは、職場では課題になりやすいです。

企業側からすると「面接の時点でわかっていれば、もっと配慮できたのに」と感じる場面もあるかもしれません。

しかし、発達障害の特性は「できないこと」だけではありません。

環境や業務内容が合えば、一つのことに特化した人材として力を発揮できる可能性もあります。

私自身、苦手な環境では何度も失敗しましたが、自分の特性を理解してもらえる環境では、以前よりも安定して働けるようになりました。

だからこそ、発達障害の方やその疑いがある方と関わるときは、「この人は何が苦手なのか」だけでなく、「どんな環境なら力を発揮できるのか」を見ることが大切だと感じています。

障害者雇用という選択肢を活用することで、特性に合った環境で働きやすくなるケースもあります。採用担当者として、また当事者として、その可能性を感じてきました。

企業側ができる配慮ポイント

面接や職場で発達障害の特性が気になる場合、企業側ができる配慮もあります。

企業側ができる配慮の例
  • 質問は1つずつ区切って伝える
  • 回答が長い場合は途中で要点を確認する
  • 筆記試験と面接の間に休憩を入れる
  • 曖昧な指示ではなく具体的に伝える
  • 苦手なことだけでなく得意なことも確認する

もちろん、すべての人に特別対応をするのが難しい場面もあると思います。

しかし、質問を整理する、休憩を入れる、具体的に伝えるといった配慮は、発達障害の方だけでなく多くの応募者にとってわかりやすい面接につながります。

結果的に、企業側も応募者の本来の力を見極めやすくなるはずです。

面接以外の職場場面での具体的な関わり方については、発達障害の部下・同僚への場面別の接し方でも当事者目線からまとめています。

就職活動中の発達障害当事者の方へ

ここまでは主に採用担当者・人事の方向けに書いてきましたが、発達障害があって就職活動中の方にも伝えたいことがあります。

「面接でADHDがバレるのではないか」「うまく話せなかったらどう思われるだろう」という不安を持っている方もいるかもしれません。

私自身もそういった不安を抱えながら就職活動をしていた時期がありました。

ただ今振り返ると、特性を隠して無理に合わせようとするより、自分に合った環境を選ぶことの方が長く働き続けられると感じています。

障害者雇用という働き方は、特性を開示した上で配慮を受けながら働ける選択肢のひとつです。私自身もこの働き方を選び、今の職場で安定して働けています。

どの働き方が自分に合っているかは人によって異なりますが、選択肢のひとつとして知っておくことは大切だと思います。

まだ診断を受けていない方や、受診を迷っている方は、ADHDの診断を受けるまでの流れと費用について当事者の体験とともにまとめた記事も参考にしてみてください。

就職活動に不安がある方へ

「自分に合う働き方」を一人で探し続けなくても大丈夫です

面接でうまく話せるか不安だったり、発達障害の特性をどこまで伝えるべきか悩んだりすると、就職活動そのものがとても重く感じることがあります。

私自身も、特性を隠して無理に合わせようとしていた時期がありました。だからこそ、障害者雇用や配慮のある働き方について、早い段階で情報を集めておくことは大切だと感じています。

障害者雇用に対応した求人サービスや転職エージェントでは、自分の特性や希望条件を整理しながら、どんな働き方が合いそうか相談できる場合があります。

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まとめ

今回は、発達障害のある方と面接・採用の場面について、当事者かつ採用担当の視点からお伝えしました。

この記事のまとめ
  • 面接だけで発達障害かどうかを判断することはできない
  • 複数の質問を同時に処理するのが苦手な方もいる
  • 早口になるのは話したい情報が多いからの場合もある
  • 筆記試験と面接が続くと疲労で本来の力が出にくくなることがある
  • 「できないこと」だけでなく「どんな環境なら力を発揮できるか」を見ることが大切
  • 発達障害のある方には障害者雇用という選択肢もある

発達障害のある方が面接で力を出しにくい場面があるのは、能力の問題ではなく、環境や質問の仕方の問題であることも多いです。

採用担当者の方は、ぜひ「その人の得意な環境」を探す視点を持ってみてください。

就職活動中の当事者の方は、自分の特性を理解してくれる環境を選ぶことも、長く働くための大切な一歩です。

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この記事を書いた人

高校2年生の不登校をきっかけに、スクールカウンセラーの勧めで大学病院を受診し、発達障害(ADHD)の診断を受けました。

その後、専門学校を卒業して社会人になるものの、働き方や人間関係につまずき、一時期は社会から距離を置くような引きこもり期間も経験。

就労支援事業所への通所を経て、現在は上場企業のオープンポジション枠で、障害者雇用として管理部門に勤務しています。

今は発達障害と向き合いながら、結婚・子育て・マイホーム購入・住宅ローン返済中のリアルな日々を過ごしています。

このブログでは、不登校・いじめ・就職・障害者雇用・制度活用・子育て・暮らしの工夫など、これまでの経験をもとに、同じように悩む方やご家族に向けて発信しています。

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