ADHD診断を受けるには?受診先・流れ・費用をADHD当事者が体験談とともに解説

自分はADHDかもしれない
仕事や日常生活で生きづらさを感じている
でも、このあとどうすればいいのかわからない

仕事でミスを繰り返したり、転職が続いたりすると、
「もしかして自分はADHDなのでは?」と考えることがあるかもしれません。

私自身も、仕事がうまくいかない理由を探しているときにADHDについて調べ、自分に当てはまる部分が多いと感じた経験があります。ただ、「自分に当てはまる」と思ったあとに、どこへ相談すればいいのか、病院では何をするのか、診断された後はどうなるのかまでは、当時の私もよく分かっていませんでした。

この記事では、実際に発達障害の診断を受けてきた当事者として、受診先の種類・診断までの流れ・費用・初診前の準備・診断後の選択肢について、私自身の経験を交えながら紹介します。

診断を受けたことで安心できたことだけでなく、逆に苦しくなったことについても書いていきます。

ADHDを疑ったときの受診や相談のイメージ
目次

ADHDの診断はどこで受ける?受診先の種類と選び方

「自分はADHDかもしれない」と感じたとき、最初に迷いやすいのがどこへ相談すればいいのかという部分です。受診先にはいくつかの選択肢があります。

受診先の選択肢
  • 精神科:ADHDを含む発達障害の診断や治療を行っている医療機関があります。
  • 心療内科:ストレスや心身の不調などを扱います。成人のADHD診断に対応しているかどうかは医療機関によって異なります。
  • 発達障害専門外来・発達外来:発達障害を専門的に診ている外来です。予約から初診まで時間がかかる場合もあります。
  • 発達障害支援センターなどの公的相談窓口:診断そのものを行う場所ではありませんが、生活上の困りごとの相談や、地域の医療機関について相談できる場合があります。

私自身が受診先を探した経験から、事前に確認しておいた方がいいと感じるのは、「成人のADHDや発達障害の診断に対応しているか」という点です。心療内科や精神科であれば、どこでも発達障害の診断を受けられるとは限りません。

予約を取る前に、公式サイトや電話などで確認しておくと受診先を選びやすくなります。どこへ行けばいいか分からない場合は、かかりつけ医や、お住まいの地域の発達障害支援センターなどに相談する方法もあります。

※対応範囲は医療機関や地域によって異なります。実際に受診する際は、各医療機関・公的機関へご確認ください。

私が実際にADHDの診断を受けたときの体験

私が発達障害の診断につながる受診をしたタイミングは、大きく分けて2回あります。

1回目は高校2年生のときです。当時は不登校になっており、スクールカウンセラーの勧めで大学病院の思春期外来を受診しました。

ただ、その頃の私は自分から病院へ行きたいと思っていたわけではありません。母親に予約などをしてもらい、正直なところ嫌々ながら病院へ行っていました。

そこで知能検査を受け、初めて発達障害と診断されました。しかし、当時は受診そのものに前向きになれず、検査の途中で嫌になってしまい、その後は通院をやめてしまいました。

2回目に受診したのは、社会人になってからです。新卒で入った会社で仕事のミスを繰り返し、毎日のように叱責される状況が続いていました。

「どうして自分はこんなにうまくできないんだろう」「今まで生きづらかった原因は何なんだろう」

そんなことを考えるようになり、今度は自分で発達障害を専門に診ている心療内科を探して受診しました。記憶では、予約してから初診までは3か月ほど待ったと思います。

初診では、仕事で困っていることや日常生活について話しました。その後、別日に発達支援センターへ行き、知能検査を受けました。

検査などを経て、高校生の頃に受けた診断についても間違いではないと言われ、改めて発達障害と診断されました。

今でも忘れられないのが、初診のときに先生から
「今まで辛い日々を送ってきたよね。よく頑張った」と言ってもらったことです。

当時の私は、診断名が欲しかったというよりも、「これまで生きづらかった原因を知りたい」という気持ちの方が強かったのだと思います。

発達障害がその原因の一つだったと分かったときには、それまで分からなかったことが少し整理されたような感覚がありました。

ただ、診断を受けて良かったことばかりだったかというと、私の場合はそうではありません。むしろ診断直後は、良くなかったと感じたことの方が多かったくらいです。

それまで「もしかしたら発達障害なのかもしれない」と思っていたものが、診断によって「私は発達障害なんだ」という明確なものに変わりました。仕事でミスをすると、すぐに「発達障害だからだ……」と考えるようになりました。

日常生活の中でも、自分の行動や考え方について「これも発達障害だからなのかな」と考えることが増え、何をしていても障害という言葉が頭の片隅にある状態になっていました。

自分が今考えていることは自分自身の考えなのか、それとも発達障害によるものなのか。そんなことまで考えるようになり、時には「自分は何者なんだろう」と分からなくなることもありました。

もちろん、長年感じていたモヤモヤの一因として発達障害が分かったことには安心感もありました。ただ、私にとって診断は「原因が分かってすっきりした」で終わるものではありませんでした。

診断を受けてから、自分の中でその診断をどう受け止めていくかにも時間が必要だったのだと思います。

診断を受けた後、「これからどんな治療をするのだろう」「薬を飲むことになるのだろうか」と不安になる方もいると思います。私が実際に受けた治療や服薬については、ADHD診断後の治療方法と、薬・カウンセリング・社会復帰までの経験で詳しくまとめています。

ADHD診断の流れと検査内容

ADHDの診断を受けるまでの流れは、医療機関や本人の状況によって異なります。一般的には、次のような流れで進むことがあります。

STEP
予約・初診

医療機関へ予約し、現在困っていることなどを相談します。

STEP
問診・生育歴の確認

現在の生活だけでなく、幼少期からの生活状況や困りごとについて確認される場合があります。

STEP
心理検査など

必要に応じて、認知機能などを確認する心理検査が実施される場合があります。

STEP
診断・説明

問診や検査結果などを踏まえて医師が総合的に判断し、今後について説明を受けます。

初診前に準備しておくものとしては、次のような内容が参考になる場合があります。

  • 仕事や日常生活で困っていることをメモしておく
  • いつ頃から困りごとが続いているのかを整理しておく
  • 幼少期の様子について、必要であれば家族に確認しておく
  • 過去に診断や通院歴がある場合は、必要な資料がないか予約時に確認しておく

私自身は、ほとんど準備せずに初診へ行きました

こうして準備するものを書いていますが、私自身が社会人になって再び受診したときは、正直なところほとんど特別な準備をしていませんでした。

ただ、高校生のときに一度発達障害と診断されていたため、以前受診していた医療機関からの紹介状を持ってくるように言われました。なんとか用意しましたが、昔の受診先から必要な書類を準備するのは、思っていたより大変だった記憶があります。

過去に診断歴や通院歴がある方は、私のように以前の資料を求められる可能性もあるため、予約時に「過去の診断に関する資料は必要ですか?」と確認しておくと準備しやすいと思います。

※必要な資料や検査内容は医療機関によって異なります。診断は医師が総合的に判断するものであり、セルフチェックやインターネットの記事だけで判断できるものではありません。

ADHD診断にかかる費用と保険適用

受診を考えるとき、費用が気になる方もいると思います。

診察費:精神科・心療内科などの診察では、健康保険が適用される場合があります。
検査費用:実施する心理検査や方法によって費用が異なる場合があります。
薬代:薬が処方された場合は薬代も必要になります。
自立支援医療制度:継続的な精神科・心療内科などへの通院が必要な場合、医療費負担を軽減できる可能性があります。

私は自立支援医療制度を知らず、両親に助けてもらったこともあります

私が社会人になって再び診断を受けた頃は、自立支援医療制度について知りませんでした。そのため、通院費やストラテラ・コンサータなどの薬代を通常の自己負担で支払っていました。

当時の私の通院では、現在よりも長い期間分の薬を一度に処方してもらうこともあり、一度の支払いが数万円になることもありました。社会人になったばかりの自分にとってはかなり大きな金額で、費用が厳しいときには両親に助けてもらったこともあります。

現在は、以前よりも医療機関側から自立支援医療制度について案内される場面が増えたように、私は感じています。また、現在私が通っている医療機関では1か月分ずつ薬を処方してもらっているため、以前のように一度の支払いが大きな金額になることも少なくなりました。

その点では、以前より費用に対する不安を感じずに通院できています。

私自身、「もっと早く制度のことを知っていれば」と感じた経験があります。継続的な通院が必要になった場合は、自立支援医療制度など利用できる制度がないか、医療機関や自治体へ確認するという選択肢があります。

※医療費・薬の処方日数・自立支援医療制度の対象や負担額などは、受診先・薬剤・自治体・本人の状況などによって異なります。最新情報は医療機関や自治体などの公式情報をご確認ください。

ADHD診断後に使える支援制度と次のステップ

ADHDの診断を受けても、その瞬間に生活や仕事の悩みがすべて解決するわけではありません。診断後の状況によっては、次のような制度や相談先を利用できる場合があります。

自立支援医療制度(精神通院医療):継続的な通院にかかる医療費負担を軽減できる可能性があります。
精神障害者保健福祉手帳:一定の要件を満たした場合に取得でき、各種支援やサービスにつながる場合があります。
就労支援:就労移行支援などを通して、働くための準備や就職活動、職場定着について支援を受けられる場合があります。
発達障害支援センターなどへの相談:生活や仕事について相談できる場合があります。

また、診断を受けた直後は「発達障害と分かったら就職で不利になるのでは」と心配する方もいると思います。私自身も障害を隠して通常雇用で働いた経験があります。

ADHDと診断されると就職は不利になるのかについては、当事者としての就職・転職経験から別の記事で詳しく整理しています。

※各制度の対象要件や申請方法は異なります。詳しくは自治体や各支援機関へご確認ください。

私が就労支援を選ぶまでには、5〜6年ほどかかりました

私の場合、診断を受けたからといって、すぐに障害者雇用や就労支援を選んだわけではありません。診断後もしばらくは、障害を開示せず通常雇用で働いていました。

就職活動でも発達障害があることを隠して応募し、そのまま会社へ入ることを繰り返していました。ただ、私にとって「障害を隠して働いている」ということ自体が大きなストレスになっていきました。

会社には発達障害があることを伝えていないため、「通常雇用で入った以上、相手が求めていることに応えなければいけない」という気持ちも強くありました。

できないことがあっても、それを見せないようにする。苦手なことがあっても、「普通にできる自分」を演じようとする。

そんな働き方を続けるうちに、だんだんと苦手な部分を隠したまま働いている感覚が強くなりました。そのストレスもあり、転職を繰り返しました。

この状態が5〜6年ほど続いたと思います。

何度か転職を繰り返すなかで、私はようやく「どうすれば周囲の期待に応えられるか」だけではなく、「自分にとって無理の少ない働き方は何だろう」と考えるようになりました。

そこで、障害を隠していることへのストレスや、苦手な部分を見せないように働き続ける感覚を、一度きちんと整理してみることにしました。すぐに次の会社を探すのではなく、自分がこれからどう働きたいのかを考える時間を取ることにしました。

そう決めたことが、私が就労支援事業所への通所を選んだきっかけです。

その後、私は障害を隠して通常雇用で働き続けるのではなく、障害者雇用という働き方も選択肢に入れるようになりました。そこに至るまでに考えたことは、ADHDの私が障害者雇用を選んだ3つの理由で、実際の経験をもとに詳しく書いています。

私にとって就労支援は、単に「就職するための場所」ではありませんでした。これまでの働き方を一度止めて、自分の特性や働き方を整理するための時間という意味も大きかったと思います。

実際に就労支援事業所へ通ってからは、自分の特性を整理したり、就職活動の準備をしたりしながら次の働き方を考えていきました。私が受けた訓練や就職までの流れについては、就労移行支援で本当に就職できる?通所経験者が訓練内容と就職までの流れを解説で詳しく紹介しています。

就労移行支援が少し気になった方へ

就労移行支援に興味があっても、「自分に合う場所なのか分からない」「いきなり通所を決めるのは不安」と感じる方もいると思います。

私が実際に通っていた事業所とは別ですが、atGPジョブトレでは障害別の就労支援を行っています。まずは「どんな支援があるんだろう?」くらいの気持ちで、支援内容や事業所を見てみるのも一つの方法です。

診断名だけで自分を説明しようとして、苦しくなったこと

私自身、診断を受けた直後は、何かうまくいかないことがあるたびに「ADHDだからだ」と考えていました。ただ、今振り返ると、すべてを診断名だけで説明しようとすることも苦しかったと思います。

ADHDについて知ることは、自分の苦手な部分を理解したり、対処方法を考えたりする手がかりになりました。その一方で、今の私は、自分の性格・好きなもの・得意なこと・大切にしていることまで、すべてをADHDだけで説明する必要はないと考えています。

でも、苦手なことばかりが目についてしまう……

私自身も、診断後は苦手なことばかりに目が向いていました。今は、苦手なことへの対策を考えるのと同じくらい、「自分は何なら自然に続けられるのか」「どんなことには興味を持てるのか」も一緒に考えるようになりました。

以前、私の知人に野球が好きで、グローブについて非常に詳しい人がいました。事務職では生きづらさを感じていましたが、その後スポーツショップへ転職し、好きだったグローブに関わる道へ進んでいきました。

もちろん、好きな仕事を選べばすべてうまくいくわけではありません。それでも私自身は、苦手なことだけを見て「自分はできない人間なんだ」と考えていた頃よりも、自分の得意・不得意を一つずつ分けて考える方が、これからの選択肢を整理しやすくなりました。

好きなことをベースに将来を考えるイメージ

自分だけで答えが出ないときは、専門機関に相談する方法もある

「ADHDかもしれない」と思っても、実際に病院へ行くことには迷いが出ると思います。私自身、自分の困っていることを初対面の人に話すことにも、診断されることにも緊張や不安がありました。

一方で、私の場合は自分だけで答えを出そうとして、インターネット上の情報を調べ続けるほど、かえって分からなくなることもありました。精神科・心療内科・発達障害専門外来や、地域の相談窓口など、第三者へ相談することも一つの選択肢です。

私が就労支援事業所へ通ったときにも、自分の悩みを家族や友人には話しにくいという人がいました。相談したからといって、すぐに問題が解決するとは限りません。

それでも、自分だけで抱えていたことを一度外に出してみることで、次に何をすればいいか整理しやすくなることはあると思います。

職場でADHDの特性を抱えながら働く方や、周囲との関わり方に悩む方には、発達障害の部下・同僚への接し方について当事者目線でまとめた記事もあります。

仕事での生きづらさを一人で抱えている方は、
ADHDで仕事が辛いと感じた瞬間と乗り越え方も参考になるかもしれません。

※受診先に迷う場合は、お住まいの地域の発達障害支援センターなどの相談窓口もご確認ください。

専門機関に相談する場面のイメージ

今は、診断名を「自分を知る材料の一つ」と考えている

私は一時期、「発達障害」という言葉にかなり強く引っ張られていました。仕事で失敗すれば「発達障害だから」。人とうまく話せなければ「これも発達障害だから」。

そうやって自分の行動を一つずつ診断名に結びつけているうちに、自分自身が見えにくくなってしまった時期があります。

診断によって自分の特性を理解できるようになったことは、今の私にとって大きな意味があります。ただ、今は診断名は自分を理解するための材料の一つであって、自分そのものではないと考えています。

得意なこともあれば、苦手なこともあります。家では普通に笑いますし、好きなことに夢中になることもあります。

発達障害があることと、それ以外の自分を無理に切り離す必要もありませんが、何もかもを障害だけで説明しなくてもいいのだと思えるようになりました。

診断を受けてすぐにそう思えたわけではありません。私の場合は、働き方を変えたり、自分の特性やこれまでの働き方を整理したりしながら、少しずつ考え方が変わっていきました。

まとめ

「自分はADHDかもしれない」と感じたときに、知っておきたいことをまとめます。

受診先を確認する:精神科・心療内科・発達障害専門外来などの中から、成人のADHD診断に対応しているか確認する
初診前に必要なものを確認する:困りごとのメモだけでなく、過去に診断歴がある場合は以前の資料が必要か確認しておく
費用や制度について調べる:継続的な通院が必要な場合は、自立支援医療制度などについて医療機関や自治体へ相談する
診断後の選択肢を知る:必要に応じて、就労支援や地域の相談窓口などを利用する
診断名との付き合い方を考える:特性を理解する材料の一つとして捉え、得意なことや興味のあることも一緒に整理する

私にとって、発達障害の診断は「受けて良かった」の一言だけでは説明できないものでした。生きづらかった原因の一つが分かったことには安心しました。

一方で、診断後は自分の行動や考え方すべてを「発達障害だから」と考えるようになり、自分自身が分からなくなった時期もあります。

その後も通常雇用で働きながら5〜6年ほど悩み、転職を繰り返し、ようやく「周囲の期待に応えること」だけではなく、「自分にとって無理の少ない働き方」を考えるようになりました。

診断を受けることも、その後どのように働くかを決めることも、人によって答えは違うと思います。私自身は、一人で考え続けるよりも、必要なときに医療機関や支援機関などへ相談したことで、次に何をするかを整理しやすくなりました。

ADHDと向き合いながら生活してきた経験については、
別の記事でも、これまでの生活や考え方の変化をまとめています。

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この記事を書いた人

高校2年生の不登校をきっかけに、スクールカウンセラーの勧めで大学病院を受診し、発達障害(ADHD)の診断を受けました。

その後、専門学校を卒業して社会人になるものの、働き方や人間関係につまずき、一時期は社会から距離を置くような引きこもり期間も経験。

就労支援事業所への通所を経て、現在は上場企業のオープンポジション枠で、障害者雇用として管理部門に勤務しています。

今は発達障害と向き合いながら、結婚・子育て・マイホーム購入・住宅ローン返済中のリアルな日々を過ごしています。

このブログでは、不登校・いじめ・就職・障害者雇用・制度活用・子育て・暮らしの工夫など、これまでの経験をもとに、同じように悩む方やご家族に向けて発信しています。

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