障害を周囲に打ち明けて働くことが不安
障害を隠して働いていてしんどい
障害雇用で働くことは考えていない
今回はこの悩みをテーマに記事を書きました。
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(2017年)の調査によると、
障害を開示せずに働いている方は、1年以内に離職する割合が高いという結果が示されています。
※本データは2017年時点の調査に基づくものです。最新の状況については原典をご確認ください。
では、なぜ障害を隠して働くと、離職につながりやすいのでしょうか。
その背景の一つに「配慮」の問題があるのではないかと考えています。
同機構が2026年に公表した調査研究報告書(No.187)でも、
障害の開示は、職場で受けられる就労上の配慮と関連していると指摘されています。
裏を返せば、障害を開示していない場合は、必要な配慮を受けられないまま働くことになりやすい、ということです。
私も障害を隠して働いていた経験がありますが、配慮を頂けないという点において、
継続して働き続けることは難しいと感じることが多々ございました。
もちろん、障害を隠して働き続けている方もいらっしゃいます。
それは職場環境・仕事内容・対人関係・自己対処が整っている場合に限ります。
今回は、障害を隠して働く方が、1年以内に離職してしまう原因と対策を当事者目線で紹介します!


障害を隠して働く理由とは…
現在日本では、一般雇用と障害者雇用の2つの就労形態がございます。
障害者雇用で働くためには、障害者手帳の取得が必須です。
そのため障害の診断を受けている方が、障害手帳を取得していない場合は、
「健常者」として一般雇用で働かなければなりません。
障害雇用制度の構造そのものが問題であり、この構造が障害を隠して働く仕組みを作り出してしまっています。その結果、障害のある方が配慮を受けられないまま一般雇用で働き続け、早期離職につながるケースが生まれています。
精神障害や発達障害の診断を受けていても、障害者手帳を取得していない方は少なくありません。
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の調査研究報告書(2026年)でも、手帳を持たないまま就労している方が、就労支援の現場に一定数いることが報告されています。
手帳を持たない理由は、本人が必要性を感じていない、手帳についての情報が不足している、心理的な抵抗があるなど、方によってさまざまです。
いずれにせよ、障害を開示せずに働いている方が一定数いらっしゃることは、こうした調査からもうかがえます。
障害手帳を取得することで自分が「障害者」になってしまう否定的障害者感と、障害を開示して働くことによる収入減少への不安によって、障害を隠して働く選択を取っているのではないでしょうか。
収入が下がるのでは、就活が難しいのではという不安を感じている方は、
障害者雇用への転換で収入・就活・気持ちの不安を整理する記事も参考にしてみてください。
障害を打ち明けずに働くことで早期離職になってしまう原因とは
1年以内に離職してしまう原因は、
冒頭でも紹介しましたが、職場環境・仕事内容・対人関係・自己対処が整っていないことに
よるものがほとんどであると、実際に経験した当事者として感じております。
では具体的に整っていないとはどのような状況か、
それは以下のとおりです。
・苦手なことが多い仕事をしている
・対人関係でトラブルが頻繁にあり不信感を抱かれている
・自分自身の障害を理解できていない
この3つです。
苦手なことが多い仕事内容で働いている
仕事内容が自分に合っていない、これは障害の有無に関わらず、
誰しもが経験し得ることです。
しかし、障害を抱えている人にとって、苦手なことを続けることは、
精神的にストレスを抱え込みやすく、体調不良の原因になりかねません。
障害を隠していると「ある程度の配慮」もない状況です。
その状況では、仕事でのミスに繋がり、失敗を繰り返してしまう
負のスパイラルに陥ってしまいます。
結果的に、その負のスパイラルから抜け出せず、早期離職に繋がってしまうと考えています。
そのため、得意な仕事というのが、障害者が働く上で必須の条件になります。
とはいえ、自分の得意なことを仕事にできる人は限られています。
障害者にとっては、得意なこと・苦手なことのバランスが重要で、
苦手なことをカバーできる得意なことがある仕事という視点が大切になります。

対人関係でのトラブルが頻繁にあり、不信感を抱かれている
障害を隠すことで、職場でのコミュニケーションに影響があります。
私が過去、障害を隠して働いてた際は、相手に「??」を多々抱かれていました。
相手の立場では私は「健常者」であり、比較対象も健常者になります。
そのため、周りが感じている”当たり前“が出来ていないことに疑問が浮かびます。
障害者にとって、周りが感じている”当たり前“は”当たり前ではございません。
障害特性が原因とは言えず、打ち明けられない不安を抱える日々が続き、
結果として、職場での対人関係の悪化に繋がってしまいます。
「障害を言えないストレス」が対人関係悪化の原因になってしまうのではないでしょうか。
自分自身の障害を理解できていない
「障害を受け入れる」
これが中々出来ない方が多いのではないでしょうか。
受け入れられないことは致し方ないことです。
それは、学生まで普通教育で育ち「健常者」として人生を過ごしていたため、
自分が「障害者」であることを受け入れられないのはごく自然なことです。
しかし、そのままでは人生の生きづらさは解消されません。
「健常者と一緒の働き方がしたい」この思いは間違いではございませんが、
できないことを受け入れ、できる仕事に携わることが大切です。
例えば、
社会人として営業職に挑戦したい!
この方が、障害特性上、対人関係を苦手としている場合、
障害を隠して営業職として働くことは難しいことです。
自分の特性や障害を理解していないことで、
なりたい自分像が強すぎることが早期離職に繋がってしまうと考えられます。

発達障害者の職場定着率はどのくらい?(3か月後・1年後の実態)
「離職率が高い」という話をしてきましたが、裏を返せば「定着できている人もいる」ということです。発達障害のある方の職場定着率については、複数の調査・研究が存在しますが、調査対象や採用経路(障害者求人か一般求人か)によって数値が大きく異なります。
共通して言えるのは、職場環境・仕事内容・周囲のサポート体制が整っているかどうかが、定着しやすさに大きく影響するという点です。障害を隠したまま配慮を受けずに働き続けることも、定着を難しくする要因のひとつになり得ます。
私が障害を隠して働いていたのは、20代後半までです。当時は転職を繰り返しており、長く続いた職場でも半年ほど、ほかは1か月以内、短いところでは3日で続けられなくなったこともありました。
面接では、できるだけ自分をよく見せようとしていたため、入社後はその「偽りの自分」に期待されているように感じていました。その期待に応えようと全力で走り続け、途中で力尽きてしまうことが多かったのです。
また、私の場合は、職場で相談しやすい人を見つけられなかったことも大きな要因でした。強く叱責されることが続くと萎縮してしまい、仕事の悩みだけでなく、障害について話すこともできませんでした。
一方で、ある職場では、障害について打ち明けた私に寄り添い、接し方を学ぼうとしてくれた先輩にも出会いました。その経験から、安心して相談できる人の存在は、働き続けるうえでとても大きいと感じています。
障害者雇用へ切り替えてからは、自分を偽らなくてもよいという安心感が生まれ、小さな成功を重ねられるようになりました。相談しやすい相手を見つけることは簡単ではありませんが、自分から少しずつ心を開き、歩み寄ることも、信頼関係を作る一歩になると考えています。
障害を開示するか隠すかで定着率はどう変わるのか
障害を開示して障害者求人で働く場合と、障害を隠して一般求人で働く場合とでは、職場定着のしやすさに差があると言われています。障害者雇用では、採用時点から配慮事項を職場と共有できるため、苦手な業務の調整や環境整備がしやすくなります。
一方、障害を隠して一般雇用で働く場合は、配慮を求めることが難しく、苦手な場面でも「できて当然」という前提で業務が進みます。こうした環境も、早期離職につながる背景の一つになり得ます。
開示の有無による定着率の具体的な数値については、調査によって対象者や雇用条件が異なるため、ここでは断定的な記載を避けます。ただし、必要な配慮を受けられるかどうかは、働き続けやすさに大きく関わると、私自身も感じています。
私自身、障害を開示せずに働いていた時期は、仕事で失敗するたびに、その気持ちを一人で抱え込みやすい状態でした。
診断を受ける前は、ミスや失敗があると「やはり発達障害かもしれない」と考え、そのたびに発達障害について調べていました。診断を受けた後は、反対に、すべての失敗を障害特性のせいだと捉えてしまい、「でも、障害が理由だとは職場に言えない」という苦しさを抱えていました。
障害者雇用で働くようになってからは、通院や在宅勤務への配慮に加え、上長と定期的に面談する機会を設けてもらっています。体調に変化があったときや、業務の優先順位に迷ったときも早めに相談できるため、悩みを一人で抱え込みにくくなりました。
一番大きく変わったのは、「言えないつらさ」から解放され、失敗の原因を落ち着いて振り返れるようになったことです。以前は失敗することが怖く、行動すること自体に不安を感じていました。しかし、気持ちに余裕が生まれたことで、障害特性によるものなのか、単なる経験不足なのかを分けて考えられるようになりました。
開示前は「障害者として見られるのではないか」という不安もありました。ただ、就労支援に通う中でさまざまな企業の方と話し、必要な配慮を共有しながら自分の役割を果たすことの方が大切だと気づきました。
開示すれば不安がすべてなくなるわけではありません。それでも私にとっては、無理を抱え込まず、長く働くための土台を整える選択になっています。
離職を防ぐための対策と使える支援制度
障害を隠して働き続けることのリスクを感じたとき、次の一歩として考えられる選択肢のひとつが、就労定着支援の利用です。就労定着支援は、就職後の職場定着を目的とした福祉サービスで、就労移行支援などを経て就職した方が対象となります(障害者総合支援法に基づく制度)。
支援内容は、職場での困りごとの相談・職場との連絡調整・生活面のサポートなど多岐にわたります。制度の詳細や利用条件については、お住まいの市区町村の窓口や就労移行支援事業所にご確認ください。
また、障害者雇用への転換を検討することも、定着率を高めるための選択肢です。障害者雇用では、採用時から配慮事項を共有できるため、苦手な業務の調整がしやすくなります。
私が障害者雇用を考えるようになったのは、障害を隠したまま転職を繰り返し、自分を偽って働くことに疲れてしまったからです。一般雇用の面接で見せる自分と、本来の自分とのギャップが大きくなり、「このまま就職活動を続けても苦しさは変わらないかもしれない」と、一度立ち止まって考えるようになりました。
そこで気づいたのが、私にとって一番つらかったのは、障害そのものよりも「障害を隠し続けること」だったということです。障害を開示して働く選択肢を考え、最初に相談したのが就労支援事業所でした。
通所前は、障害のある方々と一緒に訓練を受けることに抵抗もありました。しかし、実際に通い始めると、私が出会った方々は前向きに訓練へ取り組んでおり、その姿を見て私も頑張ろうと思えるようになりました。スタッフの方に相談する中で、「障害は隠さなくてもよい」と思える安心感も少しずつ生まれました。
その後は、就労支援事業所とハローワークの支援を受けながら就職活動を進め、初めて障害者雇用で就職できました。
すぐに大きく状況を変えようとしなくてもよいと思います。まずは一度立ち止まり、自分が本当につらいと感じていることと向き合うことが大切です。周りと比べて焦ることもありますが、一歩ずつ進んでいくうちに、少しずつ前を向けるようになると私は感じています。
障害を打ち明けないリスクは大きい
「障害を打ち明けること」これは中々できない方多いのではないでしょうか。
本音を言えば、誰しもが自分の障害や病を打ち明けたいと根の部分では考えているのではないでしょうか。しかしながら、そう簡単にはできないことを誰しもが感じています。打ち明けることによって制限がかかる社会の構造そのものが問題だと考えています。
とはいえ、打ち明けないことによって、人生に生きづらさを抱え、
社会人としての信頼を失ってしまうのであれば、打ち明けないことが正解ではありません。
打ち明けないリスクは、自分自身を苦しめ、将来の可能性までも失ってしまうことになりかねません。
障害を打ち明けず働き続けている方で、生きづらさや、やりにくさを感じているのであれば
自分と向き合うことから始めてみることをおすすめします。
筆者自身が一般雇用での生きづらさを経て障害者雇用を選んだ経緯については、
障害者雇用を選んだ3つの理由という記事でまとめています。
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